FC2ブログ
2018/04/25

S&W M59 ファーストモデル (続き)

前回の続きです。

040916a.jpg
↑なんか、ここまでバラすと「パーツ名を入れなきゃ・・・」と言う強迫観念に襲われるのですが、もう雑誌の仕事は無いので安心です(笑)。義務感が無いので、エキストラクターやハンマー・ストラットなどの分解もサボってます。ああ・・・このダラダラ感がたまらん。50歳過ぎたらダラダラやるのが吉ですね。


040916c.jpg
↑初代M59の中でも更に若いシリアル番号に限って、フレーム赤線部分のくり抜きがありません。アルミ・フレームなので、くり抜かなくても十分軽いですけどね。あと、良く知られた事ですが、最初の100丁はグリップ・フレーム前部のセレーションが施されていません。僅か100丁と言う超激レア物なので、現在は一般市場には出回らないでしょうね。


040916e.jpg
↑バレルをティルトさせるスリット(赤線)はアルミのままです。ワルサーP1(P38のアルミ・フレーム)などでは鋼材のインサートが入るんですが、これでも大丈夫と言う事でしょう。大量に発射した場合の耐久性には若干の不安があります。


040916d.jpg
↑こちらはバレル側のスリットです。赤線部分で降下します。


040916f.jpg
↑作動させるとこんな感じです。やっぱ、鉄とアルミが直接衝突するのは耐久力的に疑問ですが、公用での不具合は(バレルティルトに関して)聞いた事が無いので大丈夫なのでしょう。でも後継モデルでは改良されているんじゃないかな?


040916b.jpg
↑前回も述べましたが、ファースト・モデルにはオートマチック・ファイアリングピン・セーフティ(或いはブロック)がありません。後継のM459では、赤円部分にファイアリングピン・ブロックが入ります。


040916i.jpg
↑この辺は「まんまP38」です。ベレッタM92などはファイアリングピンが2分割化されて、軸と一緒にピンの一部が回転する独自性が盛り込まれていますが・・・あまり意味は無い気がするので(爆)、写真ので十分だと思います。


040916j.jpg
↑セーフティを掛けるとハンマーが落ちますが、赤矢印部分を叩く事になり発射されません。ファイアリング・ピンはイナーシャ・タイプなので、その後にセーフティを解除してもファイアリング・ピンがプライマーに当たる事はありません。もしもファイアリング・ピン・ブロックが装備されていれば、その状態で限りなく安全に携行できます。


041016l.jpg
↑ワルサーを参考にしたM59ですが、DAメカで大きく異なるのが、トリガー・バー(部品名ドロー・バー)が左右に分かれ、シアーとハンマーに接する部分で再び一つになっている点です。これによって、トリガー・バーの剛性を高め、トリガーからの力が逃げて「粘っこいトリガー・フィーリング」になる事を防いでいます。実際、M59(M39や後継モデルも含め)のDAトリガー・プルは、カチっとしたケジメある引き味です。


041016m.jpg
↑もう一つP38と違うのは、ハンマーをコックする際に、ハンマーの下側をダイレクトに引っ張る感じで行う点です。そしてSAの場合は、別個のシアー(写真では写ってません。コルト1911に似たパーツ)を間に挟む点が異なります。


041016g.jpg
↑これはP38ですが、トリガー・バーは片側だけで力の伝達を行うので、ピンやバーの「しなり」による力の逃げがあり、トリガーを引いてハンマーが動き出す間に、ネバっとしたタイムラグがあります。

ハンマーには可動式のハンマー・リフターが備わり、シアーが矢印部分を持ち上げる事でコックします。SAの場合は、シアーとハンマー下部のノッチがダイレクトに噛み合います。つまりM59とは逆であり、これはリボルバーのDAと同じ方式です。P38はリボルバーのDA・SA機構をそっくり移植し、シアーとトリガーとの間をトリガー・バーで繋げた構造である事がわかります。この点はモデルPPも同じであり、初代DAオートらしい構造と思います。オートマチックにDA機構を組み込む事で精一杯だったため、アイディアを一捻りする余裕が無かったのでしょう。


041016f.jpg
↑ではベレッタはどうか?これはP38と同じ片持ち式のトリガー・バーでありながら、トリガー・バーがダイレクトにハンマー下部を引き起こすDA機構(赤矢印部分)と、SAでは別個のシアーを持つ点ではM59と同一です(この点は9㎜パラのM92も同じ)。

トリガー・バーが片持ち式である弱点は、各パーツの剛性を上げる事で、粘っこいトリガー・フィールになる事を防いでいます。実際、P38より格段にシャキっとしたDAプルです。ベレッタもS&Wも、P38を参考にした後発モデルと言う事で、それ以上の性能にしようとする工夫が伺われます。一流メーカーの銃がデッドコピーじゃあ格好悪いですからね。


では次に、M59のグリップが太い点について考察!(と言うほどの事でもないが)
041016e.jpg
↑意外な事に、マガジンの幅は40S&WのスプリングフィールドXDから、32ACPのベレッタM81まで殆ど同じでした。


041016c.jpg
↑私的に、ダブルカラム・マガジンの割には細くて握り易い(ハイパワーに近い感じ)XDのグリップ幅は、30.6㎜でした。ちなみに、1911(シングルカラム・マガジン)の幅は約34㎜なので、それより細い事になります。但し、これらは最大幅の数値であり、1911のグリップは丸みを帯びているので、外周を測った場合はXDの方が太い筈です。他にも、くびれやカーブのデザインで握った感じは異なります。グリップ・フィーリングは数値では表し難いですからね。以後の数値は、あくまでも参考までと言う事で・・・


041016b.jpg
↑M59は34.5㎜!これは太い(笑)。ですが、グリップ・パネルを外すと25.8㎜で、XDより細くなりました。やはりアルミ・フレームにグリップ・パネルを張り付けている点がネックのようです。この点、フレームとグリップが一体のポリマー・フレームは断然有利ですね。


041016i.jpg
↑ベレッタM81は何と35.1㎜!口径が一番小さい小型拳銃なのに一番グリップが太い!ですが、これはグリップを細くする意図が全く無い、分厚い木製グリップの為であり、細くしようと思えば可能です。掌の大きな白人には別に問題ないのでしょう。


041016k.jpg
↑では、トリガーまでの位置(トリガー・リーチ)はどうか?XDはグリップ後部(グリップ・セーフティの部分)に大きなくびれがあり、丸みも帯びているので、65.4㎜と言う寸法以上にトリガーが近く感じます。

但し、XDのトリガーは基本的にSAなので(DAOのグロックに引き味は似ているが)、このトリガー・リーチを直接M59やベレッタと比較するのはフェアでありません。なので、以下はDAとSAの両方を測定します。


041016a.jpg
↑M59はDAで73.6㎜、SAで64.1㎜となりました。SAではXDより短いですが、くびれや丸みが一切ない「角材のような」デザインなので、数値以上にトリガーが遠く引き難いですね。


041016j.jpg
↑ベレッタはM59よりも数値が小さく、何より丸みを帯びてくびれもあるグリップなので、M59より遥かにトリガーが近く感じます。でもXDよりは遠いですね。ちなみにベレッタM92の場合(手元に無いので採寸できませんが)、このM81の握り心地から、くびれを取り去った感じです。M59より丸みがある分、握り易く、トリガーも近く感じます(大差ではないが)。


041016d.jpg
↑というわけで、やはり初代M59は実寸の上でも実際に握った上でも、握り心地は最悪の部類です。ですが原因はハッキリしており、寸法よりも角ばったデザインに問題がある訳です。写真を見ての通り、バック・ストラップ(インサート)を外せばフレーム自体はかなり細いのが分かります。ここにミニマムのグリップを被せれば、改善は容易です。

はたして、後継モデル(3代目)ではインサートを廃し、メイン・スプリングの保持を兼ねた左右一体の丸みとくびれのあるワンピース・グリップを被せて、握り心地は大幅に良くなりました。めでたしめでたし・・・


041016h.jpg
↑さて、M59の握り心地は改善可能ですが、これだけはどうしようもない点・・・それは銃軸線とグリップ間の距離(写真)です。しかしながら、これはM59だけの問題ではなく、全てのハンマー式DAオートに共通する弱点です。フレームの後部に回転式のハンマーと、それを駆動するストラットやメイン・スプリングを配置する必要がある為、どうしてもこの部分が太ってしまうのです。この点では、最近流行のストライカー式オートが有利です。フレーム後部にはシアーだけが収まれば済みますからね。

ただ、銃軸線とグリップ位置が近い点が、どれほど射撃フィールに有利かと言えば、個人的に然程の違いはないと考えます。銃軸線とグリップが近い場合、マズル・ジャンプは確かに抑え易いですが、リコイルはその分、ストレートに手首や腕を直撃します。実際、XDやグロックはそんな感じのリコイルで、好意的に表現すれば「マズル・ジャンプが少なく、シャープなリコイル」となり、悪意を持って表現すれば「ガツンと関節に響く不快なリコイル」と言えます。何れにせよ、扱う側の感じ方の問題であり、例えば連射タイムとスコアを厳密に比較すれば、大きな差にはならないでしょうね。

では、私は個人的にどっちを選ぶか?

う~ん・・・


・・・リボルバーかな。(←ふざけんな!)


2018年現在の声
最近話題のSIG P320ですが、これはストライカーなのに従来のハンマー式の名残がある、銃軸線の高いデザインですね。上でも述べましたが、何が何でもボアラインを低くする事を是としない。米軍もそう判断したのでしょうか?

話のついでに、P320のモジュラー式なるシステムは面白いですね。私は以前、トカレフTT33やSIG P210の着脱式の撃発機構を「頻繁に交換する物でもなし、然程の有用性は無い」と切り捨てましたが(笑)、P320の場合、撃発機構を銃登録としてフレームを交換式にするという発想の転換!これは脱帽ですね。そうすれば確かに自由度は大幅に高まりますし、経年劣化の恐れがあるポリマーフレームも定期的に交換できるわけです。ドロップテストで不具合が出たようですが、あの程度なら改善は容易でしょう。

致命的な問題は・・・不細工な点ですね。(個人の感想ですwww)


スポンサーサイト