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2018/12/06

S&W Kフレーム・マグナムを考察(その2)

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↑今回は初期型M66(ノーダッシュから-1)とM19(ノーダッシュから-3)に採用されていた、ヨークのガスリングを他モデルと比較してみます。写真は上からM66、K38(4スクリュー)、M1905です。


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↑先ずは先日実射した初期型ガスリングの汚れ具合です。危惧した通り、軸内部へのガスの吹込みは矢印部分まで到達しており、汚れの量も多いです。

そして以前は気付かなかったのですが、2本のスリット内部は山形になっており、高圧ガスが左右に振り分けられるようになっています。M19やM66はフレームの高さがミニマムなので(38スペシャル用に設計されているので)、バレルのフォーシング・コーンとヨーク軸までの距離が極端に短く、高圧ガスの処理に苦労した跡が見受けられます。


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↑これはM19ですが、ダッシュ5なのでガスリングは対策済み・・・と言うか、後述しますが、先祖返りしただけなんですよね。兎も角、ガスの汚れは入り口付近で留まっています。前回も述べましたが、シリンダー側のガスリングが発射毎に回転するので、ガス圧の負担も少ない筈です。


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↑3種類を比べてみると、この中では一番古いK38のガスリングは、改変済みのM19(ダッシュ5)と同じではありませんか。つまり、M19とM66を開発した当初は、従来と形を変えた右のガスリングを採用したのですが、何らかの不具合が生じたので(恐らく、高圧ガスの処理が思惑通りに行かなかった)、従来型に戻したと言う事です。

では、この初期ガスリングは一体だれがデザインしたのでしょうね?私が知る限り、初期のM19(M66)でしか見られないので、これもビル・ジョーダンのアイディアだったのかな?頑張ってガス抜き対策をしたつもりが、裏目に出てしまったと。


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↑シリンダー側の比較。戦前の1905はヨークが簡単には外れないのですが、ガスリングはK38と同様です。


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↑では、同じタイプのガスリング同士なら互換性はあるのか?・・・と思ったのですが、これも前回述べた通り、ヨークとサイドプレートは個々に調整してあるのでダメでした。M19のシリンダーとK38のヨークは合致はしたものの・・・


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↑K38のヨークはM19のフレームに入りませんでした。他のモデルも含め、ヨークとサイドプレートは基本的にポン付け交換不可と言う事ですね。壊さないように気を付けましょう。


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↑たかがヨーク・・・されどヨーク。奥が深いです・・・


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↑さて、これはM66を実射テストして気付いた点なのですが、この銃は・・・

(某トリビア番組風の間www)

・・・
チチバンしない。


「えええええ~!?マジっすか?」マジです。コルト旧アクションと同様、トリガーを引き切ったと同時にシリンダーがロックし、DAでゆっくり引くとシリンダーがロックする前にハンマーが落ちます(画像)。まあ、実際は発射の直前にシリンダーのロックは完了するので問題はないのですけどね。


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↑日本で言う、いわゆる「チチバン」するか否かは、ラチェット(写真)の如何で決まります。コルト旧アクションは、このラチェットが大径で、シリンダー・ハンドの上下動がミニマムなのが原因です。S&Wでも、ラチェットの加工具合でチチバンしない物が存在します。それは同じモデルでも製造時期であったり、或いは一丁の個体でも回転する毎にムラがあったりします。つまり、6個のチャンバーでシリンダーがロックするタイミングが異なると。

優秀な日本製品と違ってバラツキがあるのですよ。とは言え、それが危険に繋がるわけではなく、極普通に撃てますので(コルト旧アクションを含め)誰も問題にしません。まあ、日本のガンマニアは「チチバン」に拘るので、今回の結果はショックだったかもしれません。S&WのDAだからと言って、必ずしもチチバンするとは限らないわけです。現実を知って大人の階段上りましょう。

追記
もう一つ付け加えると、「チチバン」と「S&WのDAは、ハンマーが落ちる直前でトリガーを一旦止める事が容易なので、そこで狙い直す事によってDAでもSA並みの命中率が得られる」と言う、この2つの事柄に関連性はありません。つまり、チチバンしなくても、S&Wの2段階式DAは一定のプルで引けるので、ハンマーが落ちる直前の再照準が容易な事に変わりは無いと。どうもこの辺、日本ではセットで語られる事が多い気がしたので、念の為。


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